インドにいます。

2014年9月より周りに畑しかないインドの大学で(いちよう住所はデリー)伝統医学アーユルヴェーダを学んでいます。インド政府(ICCR)奨学生。 BAMS (Bachelor of Ayurveda Medicine and Surgery)という5年半のコースに在学中。現在最終学年。次の試験に受かれば研修医。こんにちは。

1年生の授業。

私は現在2年生なのですが、今日は1年生の科目について書いてみようと思います。

 

1年生では5科目学びます。

・解剖学(現代医学とアーユルヴェーダ両方)

・生理学(現代医学とアーユルヴェーダ両方)

・サンスクリット語

・ashtanga hrdaya(アーユルヴェーダ3大古典書のひとつ)

・インド哲学

 

見て分かる通り現代医学から哲学までと、文系理系両方の幅広い知識が求められます。

 

解剖学と生理学。

アーユルヴェーダのみならず、現代医学も学ばなければならないです。そもそも、日本では文系しか頭になかった私が医学を英語とサンスクリット語の両方で学ばねばいけないというあり得ない状況に毎日泣いてました。特に現代医学書は1行読むごとに辞書を5回くらいひかねばならず地獄のようでした。

ちなみに解剖学は人体を使って解剖をします。本当に医学部です。

 

そしてサンスクリット語。

アーユルヴェーダはサンスクリット語で書き残されたので、この知識は必須です。現在では、英語や他言語に翻訳された古典書も出版されていますが、翻訳者の意見が入った上での翻訳になってしまうので。純粋な意味を読み取るためには、サンスクリット語から直接読むべきだと言われています。こちらの知識もゼロからのスタートだったので、「あ、あー、い、いー」と赤ちゃんのような出だしでした。泣ける。

 

次はashtanga hrdaya。

アーユルヴェーダは沢山の古典書に書き残されたのですが、その中でもcaraka samhita, sushruta samhita, ashtanga hrdaya は 三大古典書と呼ばれています。

(ちなみにsamhitaは古典書といったような意味です。)

 

■Caraka samhita:

caraka は人の名前。carakaは内科医だったため、caraka samhitaは内科的な知識に重きが置かれています。(大学のシラバス上では2.3年生で学びます)

■Sushruta samhita:

Sushrutaは外科医だったため、こちらは外科的な知識に重きが置かれています。(シラバス上では4年生で学びます)

■Ashtanga hrdaya:

直訳するとAshtanga(8つの)hrdaya(心臓)という意味。現代医学の内科、外科、精神科などと似たような感じで、アーユルヴェーダには8つの科があります。他の古典書は分厚いものばかりで、全ての知識を学ぶには一つの人生では足りないと感じた著者のvagbhataは8つの科の重要なところを他の古典書から短くまとめました。それが、Ashtanga hrdaya です。(1年生では全120章中、最も重要な30章を学びます)

 

最後はインド哲学。

こちらは、宇宙の成り立ち、宇宙人体物質の構成要素、魂についてなどなど、とても哲学的な内容ですがアーユルヴェーダを理解するのに欠かせない非常に重要な科目です。

 

授業は朝の9時から4時までお昼休み以外は休みなく60分授業の繰り返しです。

(とはいっても教授が来なかったり遅れて来たりは、よくあることなので自由な時間もある時はあります。そしてシラバスの内容が授業で終わることはないので結局みんな独学せざる終えません。)

月〜金まではこの時間割で、土曜日は13時までの半日授業です。

長期休みは夏と冬に2週間あります。

(ちなみに休みの日程が知らされるのは、だいたい休みが始まる前日なので全く予定がたてられません。。)

 

ある日の一日のスケジュール。

1時間目:インド哲学

2時間目:サンスクリット

3時間目:解剖学(理論)

4時間目:生物学(理論)

お昼

5.6時間目:解剖実習

といった感じです。

 

あ、大事なこと。英語で教えると大学側は言っていましたが、実際授業の半分以上はヒンディー語です。2年生になった今は9割はヒンディー語になりました。あはは

 

というわけで、インドの大学でアーユルヴェーダを学びたいという方は、英語で絶対に教えてくれるところを見つけるか、ヒンディー語を授業がわかるレベルに身につけてから来ることをおすすめします。くれば話せるようになるなんて言う人もいますが、膨大すぎる勉強量+医療英語+サンスクリット語+ヒンディー語の習得は不可能に近いと思います。(とてつもない苦労をするので私の通っている大学はおすすめしません)

 

写真は昨年度の時間割。インドの伝統医学部生活を少し味わってもらえれば。では!

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